東京都立川市。人間ドック、健康診断、健康増進を通じて、皆様の健康管理のお役にたちたいと考えております。

健康診断トピックス

第14回テーマ
乳がん患者さんが急増

 長く乳腺外来、検診の仕事をしておりますが、乳がん患者さんが年々増しております。
乳がん患者さんは従来、閉経前の40歳後半が最も多かったのですが、10年ほど前から閉経後の60歳後半にピークが移ってきたと言う報告があります。実際外来でも最近70歳代の方が増えているように思われます。これは欧米の傾向と似ており、高脂肪の食事など生活習慣の欧米化、肥満が影響していると思われます。

 乳がんの発生、増殖には女性ホルモンのエストロゲンが大きく関係していると言われ、エストロゲンの分泌にさらされる期間が長い人ほど発症リスクが高まると言われております。現在の女性は初潮年齢が早まるとともに、閉経年齢が遅くなっている傾向があり、また、妊娠・出産・授乳経験の多い人はエストロゲンにさらされている期間が短くリスクも低くなりますが、近年、未婚・晩婚・少子化傾向が乳がん増加に関連していると思われます。

 その他の乳がん発症のリスク因子としては、ホルモン補充療法、糖尿病の既往、乳がんの家族歴などが挙げられます。遺伝性乳がんは全乳がんの5~10%を占めていると言われております。家系内に乳がん患者さんがいる場合、特に血縁関係が近いほど(親・子・姉妹)、または乳がん患者さんが家系内に多くいればいるほど、乳がん発症のリスクが高くなると言われております。(乳癌診療ガイドライン2019年版より)

 乳がんの生活習慣上のリスク要因として、最近、アルコールが挙げられています。エタノールで1日10g(ワイングラス1杯110cc)増加するごとに7%リスクが増加したと言う欧米の報告があります。

 乳がんの発症率は年々増加していますが、早期発見では予後は良好ながんです。平常の御自分の乳房の状態を知っておくことと、月に一回の自己視触診、乳がん検診(任意エコー検査、自治体マンモグラフィー)をぜひお受けになることをお勧めいたします。

(文責:医師 山本 和子)